相続放棄が受理されないケース

文責:所長 弁護士 大澤耕平

最終更新日:2023年07月13日

1 期限が過ぎてしまった場合

 相続放棄が受理されなくなる代表例として、期限が過ぎてしまった場合があります。

 相続放棄は、「相続の開始を知った日」から3か月以内に手続をしなければなりません。

 そのため、3か月の期限を過ぎてしまった場合、原則として、相続放棄が受理されません。

 ただし、裁判所が例外を認めたケースもあるため、期限が過ぎてしまった場合でも、あきらめずに、弁護士にご相談ください。

 また、必ずしも「亡くなった日から3か月」とは限らないため、本当に期限が過ぎたのかどうかという点にも注意が必要です。

2 書類に不備がある場合

 相続放棄をする際は、裁判所に必要書類を提出しなければなりません。

 もし、必要書類がそろっていなかったり、相続放棄の申述書の内容に不備があった場合、相続放棄が受理されない可能性があります。

 相続放棄の必要書類は、亡くなった方と相続放棄をする方の関係性、相続放棄をすることになった経緯などによって変わってきます。

 そのため、相続放棄に向けて適切な書類を集めるためにも、弁護士のアドバイスを受けながら、書類を集めることが大切です。

3 遺産を処分してしまった場合

 相続放棄をするということは、遺産に関する一切の権利を放棄するということになります。

 つまり、相続放棄をする以上は、原則として、遺産を処分する権限がありません。

 そのため、亡くなった方の財布に入っているお金を使ったり、遺産である不動産を売却したりはできないということになります。

 それにもかかわらず、遺産を処分するということは、「相続をする」という意思表明をしたということになり、相続放棄が認められなくなります。

4 意に沿わない相続放棄の場合

 相続放棄をするかどうかは、相続人が自分自身で決める必要があります。

 そのため、たとえば誰かに騙されたり、脅されたりして、相続放棄をすることになった場合、相続放棄が受理されないことがあります。

 当然ながら、別人が、相続人の名前を使って、勝手に相続放棄の書類を出した場合も、相続放棄は受理されず、仮に受理されたとしても無効ということになります。

PageTop