相続放棄はいつまでできるか
1 相続放棄の期限は「3か月」しかない
相続放棄は、遺産を相続するか、それとも放棄するかを選択する、非常に重要な手続きであるにもかかわらず、3か月以内に手続を行わなければなりません。
ただし、ここでいう3か月とは「亡くなった日から3か月」とは限らない点に注意をする必要があります。
以下では、相続放棄がいつまでできるかについて、ご説明します。
2 3か月のスタートは「相続の開始」を知った時
法律上、相続放棄の3か月の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」からスタートすることになっています。
「相続の開始」を知ったとは、ご家族が亡くなったことを知ったことを指します。
そのため、たとえば5月1日にご家族が亡くなり、その日のうちに亡くなった旨の連絡を受ければ、5月1日に知ったことになります。
他方で、それが孤独死などのケースであり、5月10日に警察がご遺体を発見し、家族にそのことを知らせたような場合には、5月10日に知ったことになります。
また、「『自己のために』相続の開始があったことを知った時」から3か月なので、自分が相続人になったことを認識したことも必要です。
たとえば、第1順位の相続人がいる場合は、第2順位以下の相続人は相続権を持ちません。
そのため、第2順位以下の相続人の場合は、ご家族が亡くなったことを知っただけでは、3か月の期限はスタートしません。
3 3か月の期限が過ぎたらどうなるのか
先程の法律に照らすと、たとえばAさんが亡くなり、Aさんの子がそれを認識してから3か月が経過してしまうと、その後はもう相続放棄ができないようにも思えます。
しかし、たとえば、Aさんが亡くなってから半年後に、実はAさんが多額の借金を背負っていたことが判明したような場合にまで相続放棄を認めないというのは、Aさんの子にとっては、酷な結論となってしまいます。
そのため、一定の条件を満たせば、「初めて借金の存在を認識した時点」から3か月以内であれば、相続放棄が可能な場合があります。
そのため、一見3カ月が過ぎたようなケースであっても、あきらめず、専門家に相談することが大切です。