相続放棄を取り消すことはできるか

文責:所長 弁護士 大澤耕平

最終更新日:2022年02月18日

1 相続放棄の審判が出るまでの間は、取り下げることが可能

 相続放棄をする場合、裁判所に書類を提出することになります。

 ただし、裁判所に書類を出しただけで、手続きが完了するわけではありません。

 裁判官が提出された書類を審理し、相続放棄を受理するかどうかの判断をします。

 その判断が出るまでの間は、相続放棄を取り下げることができます。

 ただし、いつ、裁判官が相続放棄を受理するという判断をするかは分からないため、取り下げをする場合は、すぐに行動に移す必要があります。

2 裁判所が受理した後は、相続放棄の取下げが難しい

 裁判所で相続放棄が受理されると、その取下げは原則として、認められません。

 もっとも、一定の例外的なケースには、相続放棄の効果を覆すことができます。

 たとえば、未成年者が親権者の同意なく相続放棄を行ったようなケースです。

 未成年者は、十分な判断能力が無い状態で、相続放棄をしてしまう可能性があるため、こういったケースでは例外が認められています。

 他にも、何らかの事情を誤解して、相続放棄してしまった場合は、相続放棄を取り消すことができることがあります。

 また、誰かに騙されたり、脅されたようなケースも、相続放棄を取り消すことができる場合があります。

 しかし、これらの事情があったという証明には、高いハードルがあるため、注意が必要です。

3 相続放棄の撤回が制限されている理由

 相続放棄を受理するという審判が出てしまった後は、原則として相続放棄を撤回することはできません。

 その理由は、仮の相続放棄が出来てしまう場合の不都合を考えれば、イメージできるかもしれません。

 たとえば、Aさんが100万円の借金を残して亡くなり、相続人Bさんに借金の請求書が届いたとします。

 Bさんが、相続放棄を行って、裁判所で相続放棄の証明書を取得すれば、債権者は債権の回収をあきらめることになるでしょう。

 その後で、こっそりBさんが相続放棄の撤回をすれば、Bさんは債権の回収をされない状態で、Aさんの遺産を受け継ぐことができてしまう可能性があります。

 相続放棄の撤回が制限されている理由の1つは、こういった不当な相続を許さないという点にあります。

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