相続放棄後にしてはいけないこと

文責:所長 弁護士 大澤耕平

最終更新日:2023年07月20日

1 「相続放棄が終わったから、もう大丈夫」は通用しない

 相続放棄をする前の段階では、「遺産を使ったりすると、相続放棄できなくなるから、控えておこう」という方は多いのですが、相続放棄が終わった途端、「もう何をしても大丈夫」と考える方が少なくありません。

 しかし、相続放棄をする上で、「やってはいけないこと」は、相続放棄が終わってからも、「やってはいけないこと」に該当します。

 そのため、相続放棄が終わった後も、油断は禁物です。

2 遺産の処分をしてはいけない

 遺産の処分は、基本的に遺産を相続した相続人しかできない行為です。

 そのため、相続放棄前に、遺産を処分してしまうと、遺産を相続したとみなされ、相続放棄が難しくなる場合があります。

 このルールは、相続放棄をした後であっても同じです。

 なぜ、相続放棄の前後でルールが同じなのかは、具体例を考えてみると、よく分かります。

 たとえば、亡くなったお父さんが、20万円の預貯金と、400万円の借金を残して亡くなった場合、相続人が相続放棄をすれば、債権者は、費用対効果を考え、基本的に借金の回収を諦めなければなりません。

 仮に、相続人が、相続放棄をして、債権者に借金の回収を諦めさせてから、遺産の20万円を自由に使えるということになると、おかしな話になってしまいます。

 そのため、相続放棄の前後どちらであっても、遺産の処分をしてはいけません。

3 財産を隠してはいけない

 たとえば、お父さんが100万円の腕時計を残して亡くなり、他方で、300万円の借金があったとします。

 債権者が、裁判所で手続きを経て、お父さんの腕時計を売却し、借金の回収を行おうとします。

 しかし、相続人が、お父さんの腕時計を隠してしまうと、債権者が借金を回収できなくなってしまいます。

 そういった事態を防ぐため、相続人が財産を隠すといった行為をすると、相続放棄が無効になってしまうというルールがあります。

4 相続放棄後も、迷ったら専門家に相談を

 相続放棄後にも、自宅に書類が届いたり、亡くなった方の家にある物をどうすればいいかなど、色々考えなければならないことがあります。

 もし、間違ってルール違反をしてしまうと、せっかく行った相続放棄が無効になってしまう可能性があります。

 そのため、相続放棄をした後であっても、迷ったら、すぐに弁護士に相談することが大切です。

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